加納欄の警察手帳 シリーズ24
「え?」

「俺が、持ってるぞ、弾」

「え、本庁に渡ったんじゃ……」

「今、見つけたばかりだからな、後で持ってってやるよ」

「ありがと、ガンさん」


本庁が出てきたら、こっちには対した仕事回って来ないか(-.-)


数人の犯行か……。


鮎川さんの拳銃じゃないことを祈るしかないか。


「欄君、戻るぞ」

鮎川さんが、本庁の人達の所から戻って来た。

「どうでした?」

「いつものことさ。署で待機してろってな」


ホント、毎度な事で。


あたし達は、これ以上何も出来ない確信をし、ガンさんに挨拶をして、その場を後にした。


「欄君、まだ仕事残ってるのかい?」

車に乗り込むと、鮎川さんが話しかけてきた。

「あと、ちょっとってトコですねぇ」

あたしは、調書を全部片付けていないことを、思い出した。

「それなら、そこの交差点で降ろしてくれ。そこから歩いて帰るから」

「え、ここでいいんですか?もう少し先まで送りますよ?」

「いや、ここでいいんだ」

「そぅですか。わかりました」

と言って、あたしは鮎川さんが指定した交差点に着くと、鮎川さんを降ろした。

「じゃ、悪いな」

鮎川さんは、少し寂しそうに笑うと、歩いて行った。


鮎川さん、そこの場所は、拳銃無くした公園の近く……ですよね(-_-)


家に帰らないで、また一晩中、探すんですか?


お嬢さんも、帰らない鮎川さんを、心配して待ってるんじゃ、ないんですか……?


あたしも、一緒に拳銃を探したかったけど、仕方なく、署に戻った。

「戻りましたぁ」

「ご苦労ぉさん」

吉井さんが、出迎えてくれた。

「あれ?鮎川さんは?」

「途中で、別れました。家に帰る、って……」

「……そうか」

そんな嘘、吉井さんだってすぐ気づく。

でも、何も言わない。

あたしは、無言で、やりかけの調書に取り掛かった。

1時間で仕上げた。

課長のデスクにバサッと調書を置いた。

「終わったぁ」

あたしは、伸びをした。

「お疲れさん。ゆっくり休みなさい」


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