君の名前


ふっと目に入った腕時計が、5時を指していて、そろそろアイツが来るな、と思い俺は立ち上がった。


立ち上がってから、あまりにも自分が滑稽に思えて笑えてきた。


自分はただ、この当たり前の日常を壊せないだけだ。


どれだけ他人の前で偉そうに台詞を吐いても、結局は彼女に好きだと伝えられないのだ。






それでも俺は、帰ったときに、遅いと言って膨れる彼女を想像して帰りを急いだ。
< 99 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop