零~ZERO~
約束の日は、雨だった。
仕事が終わり、携帯を見ると、
『雨だから、車で(私の)職場まできました。』
と、メールがあった。
私は、緊張していた。
何ヵ月も逢っていないし、こんな状況で、どういう顔をして逢っていいのか分からなかった。
オリンピックが始まった頃から、私は心療内科に通い始めていた。
自分1人で抱え込めなくなって、今まで母に恋愛話しなどした事なかったのに、何度も泣きながら話しをしていた。
母は、詞音に対して怒っていた。
『肝心な時に逃げる男なんて、別れなさい。』
とまで言っていた。
詞音と逢う前に、母に電話をした。
母は、
『はぁ?今更逢って、何話すの?そんなもん、さっさと話して帰って来なさい。』
つまり、さっさと別れろ。という意味だ。
仲良く付き合っていた頃、私の職場で、よく待ち合わせをしていた場所に詞音は居た。
詞音は、私の顔を見るなり、私の腕を、弱々しい手で掴み、泣きそうになりながら、
『ごめんね…。』
と、ひたすら謝って来た。
詞音は、少し痩せていた。
私は、
『散々人の事振り回しておいて、謝れば済むと思ってんの?』
と、言ってしまった。
その時は、詞音が生きていて良かった。
という感情より、怒りの感情だった。
私は、詞音を残し、1人トイレに向かった。
冷静になりたかったからだ。
何度も深呼吸した。
だけど、上手くいかない。
仕方なく、詞音が待っている車に向かった。
詞音は、ずっと黙っている。
私は、ずっと窓の方を向いていた。
仕事が終わり、携帯を見ると、
『雨だから、車で(私の)職場まできました。』
と、メールがあった。
私は、緊張していた。
何ヵ月も逢っていないし、こんな状況で、どういう顔をして逢っていいのか分からなかった。
オリンピックが始まった頃から、私は心療内科に通い始めていた。
自分1人で抱え込めなくなって、今まで母に恋愛話しなどした事なかったのに、何度も泣きながら話しをしていた。
母は、詞音に対して怒っていた。
『肝心な時に逃げる男なんて、別れなさい。』
とまで言っていた。
詞音と逢う前に、母に電話をした。
母は、
『はぁ?今更逢って、何話すの?そんなもん、さっさと話して帰って来なさい。』
つまり、さっさと別れろ。という意味だ。
仲良く付き合っていた頃、私の職場で、よく待ち合わせをしていた場所に詞音は居た。
詞音は、私の顔を見るなり、私の腕を、弱々しい手で掴み、泣きそうになりながら、
『ごめんね…。』
と、ひたすら謝って来た。
詞音は、少し痩せていた。
私は、
『散々人の事振り回しておいて、謝れば済むと思ってんの?』
と、言ってしまった。
その時は、詞音が生きていて良かった。
という感情より、怒りの感情だった。
私は、詞音を残し、1人トイレに向かった。
冷静になりたかったからだ。
何度も深呼吸した。
だけど、上手くいかない。
仕方なく、詞音が待っている車に向かった。
詞音は、ずっと黙っている。
私は、ずっと窓の方を向いていた。