零～ZERO～
詞音の、おばあさんも、普通に考えたら私達より生きる時間が少ないから、詞音に、早く結婚して欲しいと言われているそうだ。

詞音は、私と、おばあさんの板挟みにあっている。


今まで、先の事に背を向けていた詞音が、これから先の事を話し始めた。

私は驚いた。


詞音は、
『ばあさんを、施設に入れようかと思う。
日に日に体力が落ちているし、ﾄｲﾚに行くのも、どこかにつかまってやっと行ける状態だし…。
俺、昼間居ないし、最近、仕事が忙しくて帰り遅いし…。
俺が、あまり飯食えなくて、痩せたのを見た、ばあさんが、彼女とﾖﾘ戻したら？って言って来るんだ…。』

もし施設に入って詞音と2人の生活を始めたら、詞音の親戚は、やっぱり、おばあさんが居なくなるのを待っていたと思われるんだろうな…。
私は、そんな風に思った。


私も、自分の事を話した。
心療内科に通ってｸｽﾘを飲んでいる事も話した。
詞音の事を、すごく心配して、酒とｸｽﾘが無いと毎日眠れない。仕事も手に付かない。
親に泣きついたり、不安定で、毎日泣いてばかりで、泣くと呼吸が、おかしくなるんだ…。


そう言いかけた途端、涙が止まらなくなった。
今まで苦しんで来た事が溢れ出るかの様に…。
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