零~ZERO~
私はクスリが無いと眠れない。
早川の大きなイビキをBGMに私は、早川の腕枕の中に居た。
早川の大きな身体は心地良かったのを覚えている。


早川が目覚めると、
『梢が魅力的で、何か講習が中途半端になっちゃってごめんね。
続きはまた今度。』
と言うテキトーな約束をして、別の日に接客を始める事になった。


"梢"という名前は、源氏名だ。
早川が、つけてくれた。

約束は、やはりテキトーで、自分で覚えて行くしかなかった。
やってみてなんぼだ。


だが、素股が、どうしても上手く行かない。
あれこれ苦戦していると、時間が来てしまう。

だから、"手コキ"でイかせたりした。

新人だった頃は、客は新人割引価格で入れるので、客が途切れる事は無かった。
延長してくれる客も居た。


次第に素股が、いつまでたっても出来ない不器用さに面倒臭くなり、私は、入れたがる客には、入れてやった。

すると、コイツ(私)は、セックスさせてくれるからって、同じ客が何度も来る。

もちろん、アンケートは80点以下になった事は無い。(仕事が終わった後に、用紙を見せてくれるので)
そりゃそうだろう。セックスしているんだから。


ある客が、
『本当に本当に俺だけにしてくれているの?』
と、聞いてくる。

私は、営業スマイルで、感じているフリをしながら、
『うん♪』
と、答える。

んな訳ねーだろ、ばーか。と、心の中で思っていた。


コンドームなんかつけていない。今思えば、私は、人生1からやり直した方がいいと思う。


言い訳だけど、今までの彼氏や、遊んだ人とは、つけた事が無かったけど、妊娠しなかったから、別に平気だろう。と思っていた。
何の根拠も無い。
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