零~ZERO~
新人期間を終えると、途端に暇になった。

5時間個室待機で、2人客がつけば良い方だ。

私が売れないのもあるかもしれないが女の子の数が多過ぎる店だった。


私が暇過ぎてベッドに横になっていると、早川はよく、私の個室にやってくる。
『眠れないのか?一緒に寝てやるよ。』
それも日課。
じらされる時もあったけど、時には、セックスもした。


私が自宅で眠れない時に、早川の携帯にかけると出てくれて、話し相手になってくれたりもした。

私が、
『あの客は、キモくて臭いから来ない様にしてよ。』
などの我が儘も聞いてくれた。
私は、風俗では、我が儘な奴だった。

私が酔っ払っていても、クスリで頭が朦朧として何を話したか覚えてなくても聞いてくれた。

早川は、仕事柄、眠るのが朝方なので、丁度良かった。

早川も、
『眠れなかったら、ケータイにかけて来いよ。』
と、言っていたから。


早川との仲が深まるにつれ、私が鬱病である事、リストカットしている事を理解していた。

理解と言っても、
『ポジティブに行こうぜ。』
と、言葉をくれる位だったけど。


私が冗談っぽく
『遊んでよ~。』
と、言っていたせいか、1度プライベートで遊んだ事もある。

待ち合わせは、早川が待つタクシーの中だった。
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