零~ZERO~
いつもの海岸で、詞音に
『付き合って下さい。』
と、告白された。
私の気持ちも、もう決まっていたので、素直に受け入れた。

軽トラの中で、抱きしめられながら、
『大切にするよ…。』
と、言ってくれたのを、未だに忘れられない。

私は、今まで経験した事のない位、緊張していた。
こんなに、物事上手くいっていいのかな…。

そして、キスをされた。
震えていた。
2人にとって、初めてのキス…。

数日後、またいつもの様に、軽トラで来てくれた詞音と私は、ホテルに向かい、初めて結ばれた。
部屋に入っても緊張して固まったまま、ぎこちない会話が続いた。
別に処女でもないのに。
詞音が流れを作ってくれた。
『ベッドに行こうか…。』
優しく服を脱がされる。『キレイな身体だね…。』

恥ずかしいけど2人共、感じていた。
今でも、鮮明に覚えている。

今思えば、この頃が1番幸せだった。
出逢い系で、こんないい思いをして…そう、思っていた。


けれど今は、詞音と出逢わなければよかったと思っている。


私の、崩壊の序章だから。
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