零~ZERO~
と、そのメールを読みながら、貴矢が乗っている目立つ車が、すぐ分かったので、いきなりドアを開けて驚かせてやった。
『タバコ臭ぇ~いかちー車だなぁー。』

貴矢は、私が本当に来てくれた事、助手席に乗っている事が信じられない。と言っていた。



貴矢は、当たると有名な占いに行きたい。
と言ったので、便乗した。
『俺、お金払うからさ、梢ちゃんも見てもらうといいよ。』



私は、詞音の事で悩んでいる時、藁にもすがる思いで、色々な占いをした。
タロット、手相、電話で霊視…。

占いなど、信じていなかったが、その時は、詞音と元に戻りたくて戻りたくて、仕方なかった。
どの占い師も、
"詞音と戻れる"
と言っていたが、何も変化は無かった。

むしろ、私は崩壊の方向へ向かっている。



貴矢が"占い"と言った時も、また詞音の事を思い出してしまった。最低な女だ。

だけど、そこでも詞音の事を占ってもらった。
その占い師は、悪い事は、ハッキリ言うし、曖昧にしないので、気持ちがよかった。


『詞音とは、戻ったって、あなたは幸せになんかなれないよ。
こんな、お子ちゃまは、詞音の我が儘を軽く受け流せる、詞音より歳上の人じゃなきゃダメよ。』
そう言われた。


貴矢に、占いに連れて行ってもらいながら、お金も払ってもらって、未だに詞音の事を相談する諦めの悪い私。


貴矢は、気を使って、私が占って貰っている間、ウォークマンを聞いていた。

貴矢の番になった。


貴矢は、随時後から聞いた話しによると、
"私とつき合えるか"と聞いていたらしい。
言われた言葉は、
『彼女(私)にとって、スーパーヒーローになりなさい。長い時間をかけて。』
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