零~ZERO~
それから、私の店が終わると、貴矢は車で迎えに来てくれて、家まで送ってくれるようになった。

貴矢は、土日が仕事休みなのに、平日でも仕事が終われば来てくれた。

正式に付き合う様になってからも、私の勤務時間の最終枠を予約して、店に来てくれた。
そして、私が店を出るまで、店から少し離れた場所で待っていてくれた。


複雑だった。
貴矢から、お金を貰っているという事だから。

でも貴矢は、
『1人でも阻止したいから。』
と言う。

しかも必ず90分。
2万円払って。

『最後の客は、俺にして、身体を綺麗にして。』
だから、最終枠を彼は予約する。


『今すぐ店を辞めて。』
と、当然言われたが、私にも意地というか、貯金したいし、朝の仕事の収入じゃ暮らせない、と、理由があるから、すぐには辞められなかった。


『それなら、俺が何とかする。だって2万払っても店に半分持ってかれてるんだよ?』
貴矢は言う。

でもそれは、ただのヒモみたいで嫌だった。
かと言って、貴矢が店に来ても同じなのだけど…。
それでよく喧嘩をしていた。


付き合う前、平日、私が店に居ると、他の男に身体を触られていると思うだけで、発狂しそうになり、かと言って自分の彼女でもない、見たくなくても店の、リアルタイム情報を見ては、私に客が付いているのを知ると、悔しくて、私の店の写真を見ながら、オナニーばかりしていたそうだ。
付き合ってからも続いていると言っていた。


付き合ってから、その事を聞いて、私はオナニーが許せなかった。
私が居るのに何で手を使うの?
という思いだった。


そう言うと、貴矢は、店に来てまた2万払う。

それは嫌だ。と私は言う。
その繰り返し。



貴矢と、もう1人の固定客の、おじさんに、ある日中だしされた。挿入した瞬間に。
セックスで味をしめた、そのおじさんと、セックスさせてる私、どちらも悪い。

だが、さすがに頭に来た。
おじさんは悪びれていない。
客なんか、嬢が妊娠しようと逃げられるから。
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