零～ZERO～
手の痙攣にも、随分悩まされた。
箸を持っても上手く使えず、食べ物を落としてしまったり、職場でﾍﾟﾝを使って、文字が上手く書けない。
飲み物をｸﾞﾗｽに注ぐのも、痙攣のせいで全部こぼしてしまったり。


でも、何でも無い日が、ずっと続くと調子に乗ってしまうのが、私の悪い癖だ。

ある時、自分で勝手にｸｽﾘを飲むのを止めてしまった事がある。
数日後、その反動が起きてしまった。
最初は、いつもの不調かと思っていたが、それが何日も続くのだ。
また、死んだ方がﾏｼって考えた。


それでも、貴矢に逢いたくて、忙しい彼の代わりに、家の事がしたくて、迎えに来て貰った。


だけど、車に乗り、数m動かしただけで、吐き気と目眩に襲われる。
数m動かしては、停まる。を繰り返し、
『やっぱﾀﾞﾒだ…。帰る…。
迎えに来てもらったのに本当にごめんね…。』
そう言って自宅まで引き返してもらったが、全身の痺れで、身体が硬直して動けない。
貴矢に抱えながら、家に帰った事もある。



病院で、気分が悪くなった日も、貴矢に逢いに行く予定だったのに、職場でも途中で具合が悪くなり、もう何度、親に
『具合が悪いから、帰って来た。』
と言っただろう。

もう何度、貴矢、親、職場に迷惑をかけただろう。


その度、自分を責め、罪悪感に陥る。
その繰り返し。
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