零~ZERO~
詞音は、
『俺みたいな奴と零は付き合う様な男じゃないよ。申し訳なくて…。
借金が終わるまで、綺麗な身体になるまで、何年もかかるんだよ。
その間に、零は嫌な思いもするかもしれない…。』
詞音は、泣きながら打ち明けてくれた。

私は、正直驚いたけど、この半年間、仲良くやってこれたし、別れる意味が分からなかった。

その頃の私は、詞音とだったら、何だって乗り越えられると思っていた。

そんな様な事を詞音に話し、
『お金の事は、私は関与出来ないけど、別れるつもりはない。』
と言ったら、詞音は喜んでくれた。

彼は、借金を背負う事を決めた。

詞音とは、仲が良い時は、一緒に居て楽だったし、楽しいし、結婚すると思われる程、友達も羨むカップルだった。
実際、借金が終わったら、結婚すると、お互いに意識していた。
週末になれば、遠出のドライブをしたり、色々な所に連れて行ってくれた。
音楽や服の趣味も合うし、一緒にライブに行ったりもした。

だけど、喧嘩をすると、ただの痴話喧嘩では済まなかった。
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