零~ZERO~
新しい命
貴矢と暮らし始めたのが8月、それから1ヵ月と少したった頃、心や身体に波はあるけれど、毎日が楽しく、親元を離れても暮らして行けている自分が居た。



だけど、同じ事を繰り返し、仕事をしていない為、家でやる事は限られてくる。

だから独りで考えて込んでしまう事も、よくある。

このまま一生を終えて行くのかな…とか、私の病気は、いつ治るんだろう。貴矢の負担になっていないか…、貴矢は、こんな私と居て疲れないのかな。
いつか詞音みたいに
『疲れた。』
って言われたらどうしよう…とか。



余計な事を考えて苛々している自分が居た。

次第に、貴矢にまで当たる様になってしまった。
『俺の事、嫌いなの?』
と言われた事がある。
その時は、よく分からなかった。
自分の事で精一杯だった。

生理が来ていないから、生理前の苛々かな、とも思っていた。



そう言えば、予定日から2週間以上遅れていた。
だけど、環境の変化や、精神的な事で、すぐ影響が出るから、それほど気にしていなかった。

昔も何度か、そういう事があったし…。
胸の"張り"も生理前にある事なので、その内来るだろうと、大して気にしていなかった。



反面、貴矢は私よりも心配していた。
私は、
『大丈夫大丈夫。』
と、軽く流していたのだが、あまりにも心配するので、少し不安になった私は、検査薬で調べてみた。
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