零~ZERO~
悔しくなって、私は泣き出した。
暴力を振るわれた事も、もの凄いショックだった。


こんな時にまで詞音と比べる自分もイカレてるが、詞音は、どんなに喧嘩しても暴力なんて振るった事無かったのに…。
そんな馬鹿な事を考えていた。



貴矢の本性を見た気がした。


私は、夜中にも関わらす、また母に電話をしていた。

『もしもし?何?聞こえない。』
涙が止まらず、上手く喋れない。
やっと出た言葉は、
『暴力振るわれた。』
だった。

母は、すぐに、
『彼に代わりなさい。』
と言ったので、無言で貴矢に携帯をわたした。



キッチンで話していたみたいで、何を話しているのか聞き取れないし、私は声を上げて泣いていたから、それどころでは無かった。



電話が終わった様で、貴矢は、謝って来た。
貴矢は、暴力を振るったつもりは無い。と言うけれど、女から見れば立派な暴力だ。


電話の内容を話してくれた。
『あの子(私)も短気で、気が強い所があるから、あなたが全部悪いとは限らないけど、暴力は良くない。
今後同じ様な事があったら、娘を連れ戻すから。』



貴矢は、
『正直、元彼の事を話されて苛々していた部分もありました。
今後、この様な事はしません…。』
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