零~ZERO~
その日、母から電話があった。

貴矢に話した内容と同じ様な事を言われ、叱られた。

『あんたも、相手の気持ちになって行動しなさい。
あんただって、彼が元彼女の話しばっかされたら嫌でしょう?
もう元彼の話しはしない事。』



そうだった…。

貴矢は、私のどんな奇行にも大変だったろうに、今まで対応して来てくれた。

それに甘えて、普通に、もう一緒に暮らしている仲なのに、平気で詞音の話しをして、恋しいと泣くなんて…。

貴矢は、今までどんな気持ちでいただろう。

ごめんなさい…。


私は、その日から貴矢の前で詞音の話しはしないと誓った。



貴矢とも、すぐ仲直りをした。

『零が死んじゃったのかと思って眠れなかったよ…。』
『ごめんね…。』


鬱になると、自分の事しか頭になくなるけれど、相手の気持ちになって行動する。

大切な事を思い出させてくれる出来事だった。
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