零~ZERO~
両親が出迎えてくれた。
言われた通りに、彼は靴を揃えてくれた。
私が何故、靴を揃えるのにうるさいかと言うと、私が再三母親に叱られていたから。
私の家族は、帰って来たら靴を揃えるのが常識だから。
スーツ姿の彼を見た父親は、少し驚いていた。
父親は、普通の部屋着だった。
私と彼、
父親と母親、
向かい合って席についた。
母親は、押し黙っている。
私は、少し不安になった。
彼とは面識が有るけれど、やはり気にいらないのか。
父親から、話し始めた。
話の内容は…。
まるで覚えていない。
私も、実の両親とはいえ、緊張していたからだ。
こんなに緊張したのは久しぶりだった。