零~ZERO~
病気で幼い頃、母親を亡くし、母親に抱かれたのは、数える程しかない詞音。
唯一の家族、おばあさん。
大切に思う気持ちは、分かる。
私と比べる問題じゃない。

次第に、デートと言えば、買い物に出られない、おばあさんに頼まれた買い物を詞音とする様になっていった。
ここで、私が不満を言えば、また喧嘩になる。
私はまた、自分の気持ちを飲み込んでいく。


詞音と結婚するには、年老いた、おばあさんと暮らす事になる。
"私は、詞音の家政婦になるの?"
そう思う様になっていった。

昼間、彼は仕事で家に居ない。
面倒を見るのは、当然、私になる。

血の繋がりの無い、介護の経験も無い私には気が狂いそうな事だ。

だけど、詞音は言う。
『そんなの、やってみなきゃ分からないじゃん。』
詞音は肉親だから、簡単に言う。

嫌な事があると、逃げる詞音に言われた。
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