Believe~奇跡の鼓動~
「おっまえ、この状況わかってんのか!?
どっちが有利だと思ってんだ、よ!!」
そう言うや否や、三年生の一人がハルくんに殴りかかった。
すると、その拳は宙をきり、男の腹もとに潜り込んだハルくんは、思いっきりボディブローを打ち込んだ。
「こいつ!ふざけやがって!」
一斉に殴りかかる三年生を、ハルくんはサラリサラリとかわし、次々に倒していく。
その動きがあまりに綺麗で、これは殴りあいの喧嘩のはずなのに、
不謹慎にも、あたしは見とれてしまっていた。
それは本当に、あっという間の出来事で、
6人いたはずの三年生は、
あたしを捕まえている一人を除いて皆が皆、呻き声をあげながら、ハルくんの足元に転がっていた。
「神埼を離せ」
近づいてくるハルくんに、あたしを捕まえていた男の腕がぶるぶると震えているのがわかった。
「く、くるな!
それ以上近づいたら…!!」
男がポケットから出した震える手に、キラリと光るものが握られていた。