Believe~奇跡の鼓動~
そのこえには、あたしへの怒りが溢れていた。
「なんなのよ…
あんた一体何様なのよ…
なんで多賀城先輩まで?
なんでみんなこんなのがいいの?
たいして可愛くもないくせに!!
なんであんたばっかり!!
なんであんたばっかりぃぃ!!」
彼女はもはや、正気とは思えなかった。
「あんたなんか、いなくなればいいのよ」
ゆらりと近づいてくる彼女の手に、さっきのナイフがきらりと光った。
あれは…!
いつの間に彼女はそれを拾ったのか。
ただ、さっきの男が持っていた時よりも、それは殺気を放っているように感じた。
おどしの道具としてではない。
本来の刃物としての、殺気。
荒い息づかい、血走った彼女の目は、あたしをがっちりと捕らえている。