Believe~奇跡の鼓動~

『もう隠せない』





あれから1週間が経った。





あの事件のあとすぐ、あたしを襲った三年生達は退学になったんだってきいた。
もともと素行が悪く、停学謹慎を繰り返し、先生達からもめをつけられていたらしい。
今回のことで弁解の余地なし、という結論に達したそうだ。

そして、一年生の彼女は…

彼女はあたしを刺そうとした。それは大和先生も目撃している。立派な傷害未遂。
本来なら警察沙汰だ。
しかし、あのあと、彼女はずっと病院にいる。
心のバランスを崩してしまったことが、その原因。
彼女もまた、退学の処分がなされるらしい。







あたしはといえば、あのあとしばらく、家から一歩も出ることが出来なくなっていた。
外に出るのが、怖くて、足がすくんで、家から出ようとしてするとその場に座り込んでしまうのだ。
そんな葛藤が何日も続いた。



そしてやっと、今日からあたしは登校する。



両親は、まだ休んでもいいと言ってくれた。
今回のことでかなり心配していたから。



でも、このまま休み続けるわけにはいかないし、なにより、あたしは何も悪いことなんか、していないんだ。

堂々としてればいい。





「じゃあ、いってきます」

「いってらっしゃい」


心配そうな両親にあたしは大丈夫だよ、と笑顔を向ける。



「あかり、大丈夫?」

「うん」

あたしがにこりと笑うと、花菜もにこりと笑い、あたしの手をぎゅっと握りしめた。


あたしがついてるから

花菜の手がそう言っている気がした。

あたしが今日から登校すると言ったら、朝一で家まで迎えに来てくれた。花菜の家は反対方向なのに。
両親も、花菜が一緒なら安心だと喜び感謝した。

本当に、いくら感謝してもしきれない。
いつもあたしを一番に考えてくれる、あたしの親友。

うん、花菜がいれば何にも怖くない。
みんなにどんな目でみられたって大丈夫。
花菜さえ本当のことをわかってくれていたら、それでいい。

ありがとう、花菜
大好きだよ













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