Believe~奇跡の鼓動~
放課後、部活が始まる前のウォーミングアップ中に、制服姿のハルくんが体育館に顔を出した。
「多賀城先輩!!」
「おお、ハル!元気そうじゃん!」
みんなに囲まれるハルくんの様子を、あたしは少し離れたところから見ていた。
「肩の具合どうだ?」
「医者にもう少し安静にしてるよう言われてるから、明日からはしばらく見学しようと思ってる。」
「そうか」
「ああ、でも後遺症とかの心配はないから、許可さえでれば、今まで通りだ」
「そうか!」
部員達とのそんな会話をききながら、あたしもほっとしていた。
ハルくんの怪我はやっぱり責任を感じてるから。
「ハル、今日は見学していかないのか?」
「ああ、今日は一回病院に行かないとならなくて。」
「そっか。ちぇ、せっかく旨い店見つけたから帰りに寄ろうと思ったのに」
「また今度な、那月。病院の時間までは暇だから、少し見学して適当な時間に帰るよ」
「おう」
あの二人、本当にいつもと変わらないや。
まったく今まで通りのなっちゃんとハルくんの様子に、真剣に悩んだ自分がばかみたいに思えてしまうほどだ。
ーー今まで通りにしてーー
うん、そうだね。
あたしはひとりでうんうんと頷いた。