Believe~奇跡の鼓動~
「なぁハル、せっかくだし、賭けようか?」
いつになく真剣で、でも挑戦的ななっちゃんの声に、ハルくんが答える。
「なにを?」
「お前が一番欲しいもの」
「……それは」
一瞬、二人の怖いくらいの視線が重なる。
そして、なっちゃんの口から出た言葉は…
「…あかり」
「ちょっ!?」
やっと喋ったと思ったら、なにとんでもないこと言い出してるの!?
驚き慌てるあたしより早く、花菜が二人の間に割って入った。
「なっちゃん!冗談にもほどがあるよ!」
「そうか、そうだよな」
なっちゃんは自嘲気味に笑うと、再びレーンへと向かった。
ガコーン!
快音とともにストライクを出すと、なっちゃんはハルくんのほうを振り向いた。
「じゃあ、これくらいならどうだ?
勝ったほうがあかりを家まで送っていく。」
「ちょっと!なっちゃ」
「いいんだな。後悔するなよ、那月。」
「しねーよ、俺が勝つからな。」
間に入った花菜をお構い無いしに、二人の話が進んでいく。
どうしよう、今の二人の雰囲気は普通じゃない。なっちゃん、一体どうしちゃったの!?
二人のゲームが終盤へと進んでいく。
花菜が何を言っても二人はまるで聞く耳をもたない。
どうしよう、どうしよう
あたしはガタンと立ち上がると、花菜の腕をギュッと引っ張った。
「あたし!花菜と一緒に帰る!!」
そう叫ぶと、あたしは驚いた顔の花菜の手を引っ張り、その場を逃げるように駆け出した。