Believe~奇跡の鼓動~
誰かが教室にいる。
机について何かしている。
人影がみえる窓際のあの席はまさしく小城さんの席!!
「小城さん!!」
ものすごい勢いで教室に滑り込んだあたし達に、座っていた人影がビクリと飛び跳ねた。
大川君だった。
あたし達は一気に体の力が抜け、その場に座り込んだ。
「…おまえら、何してんの?」
大川君が不思議なものを見る目で聞いてきた。
「何してんのじゃなーい!!あんたこそそこで何してんのよ!?」
「いや、課題出し忘れてたから、やらされてんだよ。」
「だいたいそこ小城さんの席でしょーが!!」
「だって、オレの席廊下側でなんかさみーんだよ。ここ暖かいし。
小城も使っていいって言ったし。」
あたしは花菜と大川君のやりとりに割り込んだ。
「小城さんいたの!?」
「ん、ああ。でもさっき、ほらなんだっけ、バレー部の、嘉瀬と仲いい五組のやつ」
「ハルくん!?」
「あ、そうそう、あいつがきて話があるとか何とか言ってでてったぜ。
いやーなんかもしかして告白?なんてな?」
「あほか大川!空気読め!」
一人陽気な大川君の坊主頭に花菜の罵声がふりかかる。
「んな!?千代田ヒデー」
「うるさい!で!?二人はどっちいったの!?」
「わかんねーよ」
「ほんっと使えないわね!」
「まじヒデーな。あ、でも小城、鞄置いてったからまた戻ってくんじゃねーの?」
大川君が机の横の鞄を指差した。
「よし!じゃあ、あたしが探してくるから、あかりはここで待ってな。」
「あたしも!!」
「すれ違いになったら困るでしょ!
それに、息上がってるよマネージャー。
あたし帰宅部だけど、持久力には自信あんのよね。」
花菜はニコッと笑うと、廊下をかけていった。