Believe~奇跡の鼓動~
「外は寒かったでしょ。今夜は雪らしいですよ。」
カウンターごしの白い湯気のむこうに、お兄さんの笑顔がのぞく。
こんな時間までバイトかな。
まだ高校生くらいじゃないかな。
それにしても、似てる。
そんなわけないのに。
ふと、昔の記憶がが蘇った。
高校二年の、雪の舞う寒い冬の日
忘れられない、彼との最後のキス
高校時代、なんでも出来そうな気がしていた、あの頃。
すべてがキラキラ輝いていて、そして…
10年近くが経った今でも、色あせない、初めての恋。
「どうしたの?」
お兄さんの声に、はっと我にかえった。
「いえ、なにも」
高校時代の、幸せで眩しくて、でも、この身を裂かれるほどの、悲しい思い出。
あの時から、あたしはずっと霧の中を迷い続けている。
どんなにあがいても抜け出せない。
はあっ、と、大きなため息がもれた。
「お姉さん、なんかあったの?知ってる?溜め息ついたら幸せまで吐き出しちゃうんだって。だから、溜め息なんかついちゃだめだよ。」
「あたしにはもう幸せなんか残ってないから」
あたしは自嘲気味に微笑んだ。
「あたしね、今日10年以上付き合ってた彼と別れてきたの。」
「旦那さん?」
「結婚はしてない。付き合ってただけ…ううん、もしかしたら、あたし『彼女』とも思ってもらえてなかったかも。ただ一緒にくらしてただけ、寂しさと…罪悪感から逃れるだめに…だから、こんなことになっても仕方なかったのよ。」
「こんなこと?」
「…彼、浮気してたの。
今日も、あたしよりその人のところにいっちゃった。
だから、もう、さよならしてきたの。それが、彼にもあたしにとっても一番いいのよ。」
なんであたし、初めて会った、しかもこんな年下のお兄ちゃんに、こんな話してるんだろう。やっぱり、似てるから?
ぼんやりと見える湯気の向こうの顔は表情までは読みとれない。
「キミはとても幸せな人なのに、
不幸なんだね。
…大事なものをなくしてしまったから。」
カウンターごしの白い湯気のむこうに、お兄さんの笑顔がのぞく。
こんな時間までバイトかな。
まだ高校生くらいじゃないかな。
それにしても、似てる。
そんなわけないのに。
ふと、昔の記憶がが蘇った。
高校二年の、雪の舞う寒い冬の日
忘れられない、彼との最後のキス
高校時代、なんでも出来そうな気がしていた、あの頃。
すべてがキラキラ輝いていて、そして…
10年近くが経った今でも、色あせない、初めての恋。
「どうしたの?」
お兄さんの声に、はっと我にかえった。
「いえ、なにも」
高校時代の、幸せで眩しくて、でも、この身を裂かれるほどの、悲しい思い出。
あの時から、あたしはずっと霧の中を迷い続けている。
どんなにあがいても抜け出せない。
はあっ、と、大きなため息がもれた。
「お姉さん、なんかあったの?知ってる?溜め息ついたら幸せまで吐き出しちゃうんだって。だから、溜め息なんかついちゃだめだよ。」
「あたしにはもう幸せなんか残ってないから」
あたしは自嘲気味に微笑んだ。
「あたしね、今日10年以上付き合ってた彼と別れてきたの。」
「旦那さん?」
「結婚はしてない。付き合ってただけ…ううん、もしかしたら、あたし『彼女』とも思ってもらえてなかったかも。ただ一緒にくらしてただけ、寂しさと…罪悪感から逃れるだめに…だから、こんなことになっても仕方なかったのよ。」
「こんなこと?」
「…彼、浮気してたの。
今日も、あたしよりその人のところにいっちゃった。
だから、もう、さよならしてきたの。それが、彼にもあたしにとっても一番いいのよ。」
なんであたし、初めて会った、しかもこんな年下のお兄ちゃんに、こんな話してるんだろう。やっぱり、似てるから?
ぼんやりと見える湯気の向こうの顔は表情までは読みとれない。
「キミはとても幸せな人なのに、
不幸なんだね。
…大事なものをなくしてしまったから。」