Believe~奇跡の鼓動~
「おまえら本当に、何してんの?」
二人だけになった教室に、大川君の声が静かに響いてきこえる。
「ちょっと小城さんに聞きたいことがあって」
あたしは適当な席に腰かけた。
大川君もさっきまでの陽気な顔から真剣な眼差しにかわった。
「もしかして、例の昨日の火事騒ぎ?」
「うん。」
「そっか、確かに小城ならなんか見てるかもな。8時半くらいにあのへんで見かけたし。」
「え?」
「いや、ほらあいつ美術部じゃん?だから珍しいなあ、って」
確かに、うちの美術部は県内でも指折りの実力と実績があるため、美術室よこの教室をまるごと部室として与えられているため、美術部員である彼女が部室棟にいく必要はない。
「ほんとに、小城さんだった?」
「?ああ、間違いないぜ。オレら最近グランドにライト着けてもらったじゃん。
だからまわりが薄暗くなっても、あの辺までは見えるんだよ」
まさか…
あたしの頭の中でごちゃごちゃに散らかっていた情報がある道筋を作り出していた。
でも動機がない。
彼女がそんな事をする理由がない。
でも…
「大川君、あたしちょっと!」
勢いよく立ち上がったとたん、
すぽん!!
【そんな…!!】
あたしはまた、高校生の体から抜け出してしまった。