Believe~奇跡の鼓動~
「その通りよ!
あたしが嘉瀬君のロッカーに吸殻入りのカンを置いてやったのよ!」
小城さんは開き直ったようにハルくんを見て笑った。
「なぜそんなことを?」
あたしもそれが聞きたかった。
だって、小城さんがそんなことをする理由なんてないはずだ。
あたしは小城さんの答えに耳をすませた。
「…嘉瀬君が、あたしのプライドを傷つけたからよ」
「プライド?」
「クラスの違うあんたは知らないでしょ!
役員決めで、私は彼と同じ南高祭の実行委員になったのよ。なのに彼が、神崎さんと替わってくれって、神崎さんと一緒がいいって」
小城さんの目から涙が溢れた。
ああ、そうか。彼女も、なっちゃんが好きなんだ。
あのとき本当は、なっちゃんと同じ役員になれて嬉しかったに違いない。
なのに…
すんなり替わってくれたのは、彼女のプライド。
同じ恋するもの同士、あたしは小城さんの気持ちが少しだけわかった気がした。