Believe~奇跡の鼓動~
「!?」
思わず身をのり出したが身体が思うように動かず、椅子から転げ落ちそうになった
あたしを、青年がしっかりと抱き止めた。
本物のなっちゃんではないとわかっていても、動揺せずにはいられない。
もう、こんないい歳になってまで。
上気する頬が自分でも恥ずかしい。
そんなあたしの様子に、青年は少し切なそうに微笑んだ。
「君はよほどこの彼が好きなんだね。」
「好きよ。大好き。
ううん、そんな言葉じゃ足りないくらいに…愛してた」
あたしの頬を涙がつたった。
あたしは目の前の彼を真っ直ぐに見つめた。
あのとき、なぜあたしはしっかりと自分の想いを彼に伝えなかったんだろう。
“愛してる”の気持ちも理解できず、“好き”って言葉を伝える事さえ恥ずかしくて。
本当に“愛してる”の気持ちを理解したのは、もう彼がいなくなってから。
彼のいない日々を過ごせば過ごすだけ、あたしの彼への想いは増していった。
会えなくなって改めて、自分の想いの深さをおもい知らされた。
なっちゃんが死んでしまったあの日から、
あたしのせいで死んでしまったあのときから、
あたしはどれだけ悔やみ続けてきたかしれない。
彼を死に追いやった罪悪感と、
彼への愛。
それは、月日を重ねるごとに色褪せるどころが膨らんで…