Believe~奇跡の鼓動~
確かに、過去に行ってもなっちゃんの“停学の事実”を変えることは出来なかった。
あたしの記憶の過去と、過程は違っても最終的な事実は同じ。
「そう、過去は変えられない。
だから“現在の自我”を無理に保とうとしたり、過去を変えかねない行動を起こすと、強制的に“当時のからだ”から霊魂がひきはなされる。
君は過去の流れに身をまかせるしかないんだよ。
そしてもう一度、己の過去を生きるんだ。」
「どうしてそんな事を!?」
「言ったでしょ。
僕は君の魂を導くもの。
君は今、生死の境をさ迷ってる。
君の幸せの記憶に連なる過去と、悲しみの記憶に連なる過去、そして現在の君をみせて、君に生死を選ばせる。
それが僕の役目。」
「幸せの記憶と、悲しみの記憶…?」
「そう。人は、忘れていく生き物だ。どうでもいい記憶は、すぐに頭からこぼれ落ちる。
でも強い感情と結び付いた記憶は、ずっとその中に生き続ける。
幸せの記憶を糧に、悲しみの記憶をバネに、人は現在(いま)を生きるんだ。
だから、それらをみせた上で、さ迷える君の魂の行き先を、君自身が決めるのさ。」
「そんなこと…」
「さあ、そろそろ時間だ。
次の過去へ。
…悲しみの記憶へ」