ねぇ、センセイ。
バカだね。先生。
見てれば分かるじゃん。
「田村さんはね、もう5年もお店に通ってくれてるの。
他の常連さんも、佐知子チャン本人も田村さんの気持ちを知ってる。
6才も年上だからって、佐知子チャンがずっと一線を引いてたんだけど、
あの2人が両思いなのは明らかで。
半年前にやっと付き合うようになってね。
田村さんと佐知子チャン、来月入籍するんだよ」
「知らなかったんだ」と先生が頭を掻く。
「あれから田村とも会わないようにしてたんだ」
「先生のとんだ勘違いで私は悲しい思いをしたんだ」
と、下からキッと睨み付ければ…
優しい顔した先生がいて。
「その顔は反則」
そう言って先生は私に触れるくらいの短いキスをした。
「本当にごめんな」