ねぇ、センセイ。


「ねぇ、先生。私いくつになったか分かる?」

「オレは知ってるよぉ~ん。すみれチャンの。い、ろ、い、ろまで」

「田村さん、もう酔ってるの? "いろいろ"って何よ。何か言い方がやらし~」

私と田村さんのコント的なやり取りを横目に見ながら先生は指を折って考えてる。

仮にも、教師なんだから、指折り計算なんて…、しないでしょ。普通!

かわいい。かわい過ぎる。

「分かった! オレが教師になったのが23。お前らが6年生だったから12だろ。11離れてる訳だよな。…で今オレが32だから、椎名は21だ!!」

"どうだあってるだろう!!"

と、合ってて当たり前な計算なのに、ビールをグイッと飲みながら、得意気な顔をしてる、オフ状態の先生の姿に、また胸が締め付けられる。

「先生の酔っ払い! でも正解。私も大人になったでしょ?」

「ふっ。まだまだ子供さ。泥だらけになって遊んでいたあの頃と全然変わらないよ」

「ひっど~い」

ケラケラ笑ったけど、先生にはやっぱり子供にしか見えないのかな?て。

私。ちょっとショックだったんだよ。


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