裏表プリンス
Chapter1:*:私と完璧王子
一体、何が起こったのだろうか。
私は……どうしたら良いんだろうか。
女子の間で『王子』と呼ばれてる彼が私の目の前に居て前方を塞ぎ、私に何やら不敵な笑みを向けている。
『王子』と呼ばれるに相応しい整った顔に掛けられた眼鏡の奥から光る瞳から、私は目を逸らす事が出来ない。
「えと……退いて呉れる?」
「嫌だ」
この頼みを笑顔で拒否され、それはもう既に10回は越えているだろう。
きっと理由は1つ。
「お願いしたら退いて遣っても良いよ?」
私が目の前に居る彼の『本性』を知ってしまったから。
何で周りの女子はこの人を『王子』なんて呼ぶのだろう。
てか、最初にこの人を『王子』って言い始めたのは誰ですか。
ただの見て呉れだけの『王子』なのに。