裏表プリンス
「何笑ってンだよ」
「だってっ……煉に買い物袋っ!!似合わな過ぎるっ!!ふはっ!!」
「伊桜……お前、夕飯ナシな。折角1週間の感謝の意を込めて作って遣ろうと思ったのに残念だな」
「え、嘘っ!?そんなん嫌だし!!笑ってすみませんーっ!!」
慌てて必死に謝る私を見て『冗談だバーカ』と笑いながら言う煉。
家まであと少しの道を私は隣に居る煉を見上げながら歩く。
「何だよ、俺の顔に何か付いてんの?」
「べっつにー?煉の作る夕飯楽しみだなって思っただけー」
「……あっそ」
さっきまで煉の事を話していた所為か、莉紗の言ってた事が気になって仕方ない。
本当に煉から触れてくるのは私だけ?
煉は私の事、どう思ってるの?
そんな事ばかりが頭の中を巡る。
この疑問でまた苦しむ事になるなんて、この時の私はまだ思ってもいなかった。