裏表プリンス
自分とお父さん以外の人の料理を食べるのは久し振りで、しっかりと味わいながらもほんの数分で完食。
そんな私を見て煉は一瞬驚いた様な表情を浮かべ、何故か笑いを堪え始めた。
「ちょっ、何が可笑しいのよ!?」
「美味いのはわかるけど流石に食い終わるの早過ぎだろ……!!」
「だからって笑う事なくない!?」
「悪い悪い……でも伊桜の口に合ったみたいだし、作って良かったよ」
優しい笑顔を向けられ、ドキッと跳ね上がる心臓。
今のは反則だよ煉の馬鹿!!
徐々に顔に熱が集まていくのを感じ、私は食器を重ねて立ち上がった。
「あ……後片付けは私が遣るから、食べ終わったらシンクに持って来てね!!」
「……?わかった」
煉は不思議そうな顔をしていたけど、私は赤くなった顔を見られない様にするのに必死で、急いでキッチンへと駆け込んだ。
煉の座ってる位置から私の顔が見えないのが唯一の救いだと思う。