裏表プリンス



「れ、ん……待……っ!!」



私に息をする間も与えずに口内に侵入してくる煉の舌。

私の舌は直ぐに絡め取られ、脳に甘い痺れが走る。


理性が飛び掛けた瞬間、莉紗との会話が頭の中を過った。



「や……っ!!」

「…………!?」



私は唇が離れた瞬間に腕を突っぱねて煉を押し退け、距離を取る。

イキナリの事に驚きを隠せないのか煉はその場に固まっていた。



「ねぇ煉…………」



私は煉を真っ直ぐ見詰め、莉紗との会話で生まれた疑問をぶつける。



「煉は私の事、どう思ってるの……?」



この問い掛けに暫く沈黙が続いた。

先にこの沈黙を破ったのは煉。



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