裏表プリンス
どうして煉は私の考えてる事がわかるんだろう……少し怖い。
「別に、他に理由なんて……」
「嘘だ、本当に他に理由がねぇんならどうして俺の目を見ねぇんだよ」
「それは……っ」
本当の理由を言ってしまえば楽なのに、何故だかそれが出来ない。
言いかけて口篭る私に煉は舌打ちした。
「……ムカツク」
そう言った次の瞬間、私の唇は煉の唇によって塞がれていた。
本音を言ってしまえば煉とキス出来る事、本当は嬉しくて仕方ない。
だけどやっぱり両想いじゃないと虚しいだけなんだって、唇を重ねる度に思い知らされる。
「や……っ」
唇が離れた瞬間、私は腕を突っぱねて煉を押し退けた。
それと同時に目頭が熱くなり、ぼんやりと視界が滲んで頬を一筋の涙が伝う。
「お願い、もうこう言う事しないで……」