裏表プリンス
「……は?」
「好きじゃないならキスしないで……、思わせ振りな事しないで……」
嗚咽を我慢しながら口にしてぶつけた私の正直な気持ち。
私だけが一方的に好きだから、軽い気持ちでキスされるのがとても辛い。
「何だよ……ソレ」
「えっ…………?!」
ボソリと呟いた言葉の次に来たのは、ほんの一瞬軽く触れただけのキス。
そして腕を引っ張られ、私は煉の腕の中に閉じ込められた。
私は離れようともぞもぞと煉の腕の中で必死に抵抗する。
「ちょっ、離して……っ」
「離さない。伊桜は……俺が好きじゃないのにキスしてくるのが嫌なんだろ?」
「そ、そうよっ」
ピタリとくっついてる身体に心臓は速く脈打って五月蝿い。
だけどそれは私だけじゃなくて、正面から伝わってくる煉の鼓動も合わさってる。
私を抱き締める煉の腕が更に強まった。