裏表プリンス
2人が戻って来るまでの間、キョロキョロと食堂を見渡して彼を探すもそれらしき人は見当たらない。
て事は昼休みは食堂に居ないのかな?何か無駄に期待して損したかも。
ふぅ。と溜め息を吐くと莉紗と那智が一緒に戻って来た。
「伊桜お待たせー」
「何か何時もより人多いねー。って、那智近い!!離れてよ」
「嫌だー」
「で、例の人は居そう?」
椅子と身体を隙間なくピッタリとくっつけて来る那智を引き剥がしていたら、莉紗が私を見つめオムライスを突っつきながら聞いてきた。
「ううん、居ないみたい」
「そっか、じゃあ早く食べちゃお」
私達は最近出来たカフェやら気になるコスメの話をしながら昼食を済ませた。
相変わらず那智が引っ付いててかなり動き難かったけど。
「なぁなぁ伊桜ー」
「……何よ」
食べ終わったお弁当箱を片付けていると、本日3度目の抱き付きと同時に那智が私の名前を呼ぶ。