裏表プリンス
「伊桜、放課後は何か予定ある?」
「ないよ、どして?」
「一緒に帰ろうと思って。……迷惑、かな?」
「ううん、一緒に帰ろ!!」
一瞬だけ不安な表情を浮かべた煉だけど、返事を聞いて安心したのか『じゃあまた後で』と一足先に教室に入って行った。
さっき新鮮て思ったけど……普段との差があり過ぎて逆に怖いかも。
そんな事を考えている私の耳に那智のテンパってるのが丸わかりな声が届いた。
「え?え?相手ってもしかして……」
「王子なのよ。この感じだと上手く纏まったみたいね」
「うん……まだ実感ないけど……」
本当に私が煉の彼女で良いのかな……なんて思ったりしちゃうんだよね。
煉の取り巻きには私よりも可愛い子が沢山居るし、不安要素が山程だわ。
「あ。この子今、自分に全く自信がないって顔してる」
「どんだけ鈍いんだー?伊桜影でかなりモテてんのになー」
「……はぁ!?何言ってんの那智!!」