裏表プリンス
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煉と一緒に帰ると約束した放課後。
煉と並んで歩く私の背中には突き刺さる程痛い女子達の視線が向けられている。
うぅ……、並んで歩くのは良いけど手を繋ぐのだけは勘弁して欲しい。
手を繋ぐのが嫌って訳じゃないんだけど、寧ろ嬉しいんだけど!!……矢張り視線は繋がる手に集中してる訳で。
「あの……れ、煉?」
「何、伊桜?」
「周りの視線が痛いので、手を離して呉れませんか……?」
今の一言で王子スマイルを向ける煉の表情が一瞬、普段の表情に戻った気がした。
気付けばもう私達は正門を出ていて、駅まで真っ直ぐ続く道を進んでいる。
電車通学する生徒は少ないから、人通りは殆どないに等しい。
「きゃ……っ!?」
急に細い路地にある電柱の影に引っ張られて前を塞がれた。
そして見上げた先にあった煉の表情は何時もの意地悪な微笑み。