裏表プリンス



━━ピンポーン。


来客を知らせるインターフォンの音が小さく私の部屋に届いた。

急いで玄関に駆け降りドアスコープを覗くと、ドアの向こうに立って居たのは紙袋を持った3人の男女。



「はーい」



ゆっくりとドアを開くと先頭に立つ男性が私に一礼すると、続いて後ろに立つ女性と私とタメくらいの男の子も一礼する。



「突然すみません、私達は今日隣に越して来た寿々原(スズハラ)と申します」

「あ、楠原です……!!」

「これから色々とご迷惑をお掛けするやもしれませんが、宜しくお願いします」

「あ、いえ!!こちらこそお願いしますっ」



寿々原一家は私に持っていた紙袋を渡すと再び一礼して帰っていった。

そう言えば帰ってきた時に引越し会社のトラックが停まってたな……。



「お父さん帰ってきたらお隣の事伝えなきゃだよね」



息子さん何処の高校に通ってるんだろとか考えながら、受け取った紙袋をテーブルに置いて私は再び部屋に戻った。



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