裏表プリンス



「伊桜ちゃんは煉の彼女なんだね」

「だったら何だ」

「別にー?……おっと、そろそろ職員室に戻らないとだ。じゃあまたね伊桜ちゃん」



爽やかな笑顔を私に向けて手を振ると苑くんは図書室を出て行った。

彼の出て行った後の図書室は沈黙が続き気不味い雰囲気が漂う。

だけど私の肩を抱く煉の手はその儘。



「えと……煉、教室戻ろ?」

「………………」



朝のホームルーム前の予鈴が室内に響き渡り、煉に教室に戻ろうと促すも返事が全く返ってこない。

折角早く来たのにこれじゃ遅刻扱いされちゃうじゃんか!!煉の馬鹿!!


煉を見上げるとさっきよりは険しくないけど未だ不機嫌そう。



「……伊桜」

「ん、なぁに?」

「あんまアイツ……苑とは2人きりになったりすんな」

「……え?」



真剣な眼差しで真っ直ぐ私を見据えながらそう言った煉。



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