裏表プリンス
「あの……伊桜サン?」
那智に呼ばれて視線を向けると、何故かテンパってるのが丸わかりな表情。
そう言えば那智は煉の素の状態を知らないんだっけ。そりゃあテンパるわ。
「何、テンパってどうしたの」
「今の電話……王子、だよな?」
「うん、そうだけど?」
「うっわー、マジ意外なんですけど!!」
あれ、何で目が輝いてんのこの男。
予想と違う反応されるなんて思ってなかったから、逆に私が驚いちゃったじゃん。
つーか、那智が無駄に大声出すからうち等めっちゃ注目浴びてるし!!
「那智うるっさいんだけど!!」
「いっで!!ゴメンって……!!」
私が言うのと同時に莉紗が那智の頭にスパンと一発食らわせた。
結構痛かったのか那智は涙目。
「まぁでも、那智が驚くのも無理ないか」
「は!?莉紗は知ってたのかよ!!」
「うん、知ってたー」