裏表プリンス
『マジかよー』とテーブルに肘をついて知らなかったのが自分だけだった事に落ち込んでる那智。
別にそこまで落ち込む程の事ではないと思うんだけど……。
きっと同じ事を考えてるであろう莉紗が那智の肩を叩いた。
「ぶっちゃけウチらだって知ったの年明けだし、気にする事なくね?」
「そうそう、気にするな那智!!」
「慰められる程気にしてねぇしー」
ベーっと唇の間から舌を覗かせる那智を再び莉紗がスパーン!と叩いた。
この2人を見てると自分の精神的な疲れとか悩みが馬鹿馬鹿しく思えてくる。
て言うか、夫婦漫才師でも目指してんのかな?息合い過ぎてるんですけど。
ギャルとギャル男の夫婦漫才か、ちょっと面白そうかも。
「ふはっ、ははは!!」
「お?伊桜が元気になった」
「2人見てると自分の悩みとか馬鹿馬鹿しく思えてきちゃったし」
「何か良くわかんねぇけど、まぁ元気になって良かった良かった」
そう言って那智は食堂の食器を莉紗の分と併せて返却しに行き、私も広げた儘のお弁当を片付けて教室に戻る準備を始める。
すると私の真横で足を止める数人の影が視界に入った。