裏表プリンス



取り巻き達の笑い声を掻き消して聞こえてきた低い声、それと同時に笑い声が消え今度はざわめき始めた。


何でこの男はいつもタイミング良く助けに来て呉れるんだろう。



「お、王子……何でココに……っ」

「何してるのか聞いてるんだけど?」



うわー、煉てば顔は笑ってるのに声が超絶怖いんですけど!!


取り巻き達は黙ってしまって答える気配が全くなく下を向いた儘で、さっきまで私を見下した様に発言してた癖に、この豹変ぶり怖いんですけど。


ドン引きしてると取り巻きの壁の反対側、煉の方へと引っ張られた。



「悪いけど、伊桜は人の気持ちを弄ぶ様な事する子じゃないよ」

「……っ!」

「今度こう言う事したらどうなるか考えて於いてね?」



さっきの笑顔を取り巻き達に向けて、煉は私を連れて校舎に入った。

だけど向かうのは教室ではなく、鍵は開いているものの昼休みは利用される事のない化学実験室だった。



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