裏表プリンス



一瞬だけ目が合い、それが合図だったかの様に重なった唇。

キスに応える事に必死になっていると手首に感じた違和感。

そっと手首に視線を落とすと、そこにはいつの間に解いたのかネクタイがあった。



「れ、煉?コレは一体……」

「伊桜が逃げない様に縛ってんの」

「こんな事しなくたって逃げないから!」

「さぁ……それはどうだろうな?」



口角を上げて笑みを浮かべた煉は、私を向かい合わせる様に座らせて縛った腕を首に回した。

さっきよりも近くなった互いの距離に顔が赤くなってるのがわかる。



「ひゃっ……!」



無駄に恥ずかしくなって顔を背けると耳元に感じる煉の吐息。

少し意地悪く笑う煉の声。



「そんな可愛い反応されると余計苛めたくなるんだけど?」

「何言って……っ」



反論しようとしたその時だった。



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