裏表プリンス
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例の人を探し始めてからもう1週間が経とうとしている。
そして未だに見つからないと言う現実に、私は最早ほぼ諦めモード。
「見つかんないよぅ莉紗ー」
「それはドンマイ。諦めも肝心、だよ伊桜」
「うー……お礼言えないとか嫌だー!!でももう探すのダルいー!!」
人が居なくなった放課後の教室で喚く私に『ハイハイ』と鏡を見詰めながら生返事をする莉紗。
それでも親友かって言いたくなるけど、その言葉を飲み込んで我慢。
━━ガラッ。
静かな教室に響いた鈍いドアの開く音。
視線を音のした方に向けるとそこには小桜池くんの姿。
忘れ物でも取りに来たんだろうと思い、首と視線を元の位置に戻した。