裏表プリンス
窓の向こう側に見えたのは苑くんの爽やか過ぎる笑顔。
そして私の上に覆い被さってる煉の表情は苑くんとは正反対、めっちゃ不機嫌そう。
煉は私から離れ窓を開けると同時に、苑くんに向けて口を開いた。
「覗きなんて悪趣味だな、苑」
「えー?カーテン閉めずに始めようとしてる方がイケないと思うけどなー」
表情を一切変えずに笑顔でこっちを見る苑くんと目が合った。
私に向けられた笑顔がいつもより雰囲気が優しく見えるのは、気の所為だろうか。
「まさか、煉から伊桜ちゃんを奪うって言ったの忘れてないよね?」
「忘れる所か嫌なくらい覚えてるから、今日から伊桜ン家に世話になってんだよ」
「成る程ね。じゃあ休みに伊桜ちゃんに手ェ出せないのかー、残念」
や、そこ残念じゃないよ苑くん!
寧ろ休みの日も何かしようとしてたなんてビックリなんですけど!男の子怖い!
なんて1人で悶々としてたら、どうやって入ったのか苑くんが目の前に居た。
「ねぇ伊桜ちゃん、煉なんてやめて俺にしない?俺は煉と違って優しいよ」
「え、苑く……んっ!?」