裏表プリンス
◇王子様=俺様?
「じゃあまた明日ねー」
「伊桜、バイバーイ」
学校の正門を出た所で友人達と別れ、最寄りの駅へと続く道を歩く。
今年は暖冬、なんて言われてたけど気象庁はアテになんないね、普通に寒い。
なんて事を考えながらブレザーのポケットに手を突っ込んで顔を口元あたりまでマフラーに埋める。
「ねぇねぇ君、今暇だったりする?」
「良かったら俺らと遊ばない?」
駅前通りの信号が変わるのを壁に寄り掛かりながら待っていると、大学生くらいの男2人が話掛けて来た。
「御免なさい、急いでるんでー」
まぁ急いでるなんて嘘だけどね。
作り笑いでそう返して、タイミング良く変わった信号を渡ろうと一歩踏み出した。
……筈が、腕を掴まれ前に進めなくなってしまった。