裏表プリンス



「何で那智がココにいんの?」

「莉紗に伊桜が昼休み委員会で居ないって言われてさー、それならって思って待ち伏せてみたっ」



満面の笑みを私に向ける那智に反応を返す事なく私は教室へと戻る。

その時。


一瞬だけど、私の目が小桜池くんの姿を捉えた。

急いで彼の歩いていた通路まで出ると、この前みたいに既に姿はなかった。

小桜池くん、どんだけ歩くの速いのよ。



「伊桜、どしたん?」

「否……何でもない」



相変わらず私に抱き付いてくる那智の腕をすり抜け教室へと戻る。

教室に入るなり莉紗が抱き付いて来た。



「伊桜っ!!那智に何もされなかった!?」

「抱き付かれた以外は何もないよー」



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