裏表プリンス



そう言って彼は不敵な笑みを向ける。

綺麗に整った顔に掛けられた眼鏡のレンズから覗く瞳に捕らえられ目が離せない。



「な、何が言いたいのよ!!」

「ビンタの詫び、今ココでしろ」

「……はぁ!?あの時謝ったじゃん!!」

「は?あんなんじゃ足りねぇよ」



何ソレ!!何で詫びなきゃなんないの!?てか足りる足りない以前の問題だろ!!

私は目の前の悪魔を睨み付けた。



「ホラ、早くしろよ」

「絶対に嫌だね!!てか帰るから退いて」

「こっちこそ嫌だね」



両者一歩たりとも譲らないこの遣り取りが暫く続く。

そして私は依然、彼を睨み付けた儘時間だけが過ぎて行く。



「退いて」

「嫌だ。まぁ……お願いしたら退いて遣っても良いよ?」



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