裏表プリンス
余計な事を考えながらメイクしていたら既に家を出ている時間を過ぎていた。
何時もはしっかりと巻いてる髪はストレートの儘、私は慌てて学校へ向かう。
何か最近走ってばっかりな気がする。
運よく停車した電車に乗り、ギリギリで朝のホームルームに間に合った。
「ふぃー……疲れたぁ……」
「流石はギリ登校の女王ねー、私は絶対に真似出来ないわー」
「好きでギリ登校してる訳じゃないっつーのー……」
気温は真冬なのに汗だくで到着した私を見て、莉紗が爆笑しながら話し掛けてきた。
全然笑える話じゃないし、何時私は『ギリ登校の女王』になったのよ。
鏡を見ながら汗を拭き取って、少し崩れたメイクを直す。
「あれ?今日珍しく巻いてないんだ」
「考え事してたら時間なくってさー」
「伊桜が考え事!!それまた珍しいわ!!」
再び爆笑し始めた莉紗にデコピンを喰らわせ、また鏡へ視線を戻す。